奥田政行という料理人
〜 アル・ケッチャーノ in TOMAMU 〜

山形県の庄内の鶴岡市に“アル・ケッチャーノ”というイタリアンレストランがある。
奥田政行という料理人がオーナーシェフでこのシェフがとても面白い。
地場の食材を独自の視点と深い愛情で生産者ともに昇華させ、
鶴岡でしか食べられない料理に仕立て、全国から熱い視線が集まる。
お正月のBS放送や先週(1月18日)のUHBテレビの特集、
1月30日に放送予定のソロモン流など・・・
まさに時代が彼を追っかけている感がある。

昨年の秋の札幌での彼を囲んでの食事会と
現在開催中の占冠のトマムのホテルでの
奥田フェアーに足を運び、2度お会いして、今回のトマムでは
彼の料理を食べながら色々とお話を聞かせていただいた。
見せてもらったオリジナル味覚チャートもユニークだし、
ゴボウヌンチャクなるもので、遠心力を利用して
ゴボウの水分を片側に寄せる発想はどうやって思いつく?
飄々としていて、料理人の枠を超えた懐の深いユーモアたっぷりの
人間的な魅力をこの時代が求めているのでは、とも思う。
今回のトマムでの料理は地元庄内の食材と道産食材のコラボのコース仕立て。
信頼するフードライター小西由稀さんも
食べに行かれたようで、その時の内容とは少し違うので、
その日の食材や食べ手で、たくさんの引き出しの中から色々と替えるのでしょう。
地元鶴岡の店でもメニューは当日食材を見て決めるそう。
この方法はお客様にとっては理想的ではあるが、
毎日となるとたくさんのスタッフを束ねて作る側はとても大変。
逆に店側にとって楽なことはお客様にすると
都合が悪いことだったりするから・・・。

多くのフレンチシェフは勇気を持ってしっかりと味をつけ、攻めることが多いが、
彼の料理は10〜12皿食すので、
勇気を持って逆にぎりぎりの最少の塩味で構成される。
その方が皿の中の素材に対する味の感度は高まる。計算済みだと思うが・・・。
タイプは違うが、知識の深さや味の構成、
特に料理の流れの中の塩味の強弱のつけ方は
元札幌ルネッサンスホテルの大滝シェフに似て、
学術的なおたくなところは元クラビーの貫田シェフに似ている。
(お2人とも奥田シェフ同様に偉大な方々です。)

食後、第1次産業関係者には死活問題のTPPにまで話が及ぶ。
中でも僕が強く感心したのは応援している農家を始めとする
生産者の方々へのケアーの仕方。
そして彼の発信力や生産者と行政と民間企業とを結びつける
行動力にたくさんのヒントをいただいた。
豊かな食材や恵まれた環境で仕事をしている
北海道の僕ら料理人に課せられた使命は大きい。

多くのマスコミは彼を天才シェフと呼ぶが、
色々なことに努力する天才なのだと思う。
マイナス10度の極寒のトマムに奥田政行という
穏やかで熱きインテリジェンスな風が吹きぬけた。

<文中敬称略>
アル・ケッチャーノ in TOMAMU
北海道のおいしい時間

最後になりましたが、奥田シェフとの出会いのきっかけを作っていただいた、
北海道スローフード ・フレンズ帯広様
札幌・南郷のイタリアンレストラン カプリ・カプリ様

に感謝致します。

(2011.01.25記)


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