天国の2人のお客様


当店には忘れられない2人のお客様がいます。
無念にも共に30代半ばにして病で逝かれましが、
お2人ともフランス料理とワインが大好きでした。
お一方は、レストランのサービスの仕事をされていました。
交通事故の後遺症で、段々半身が麻痺し歩いたり、
声を出すのもままならなくなりましたが、
その不自由な身体で2階にある店まで足を運んでいただき、
食事を楽しんでいかれました。
亡くなる半年ほど前に自由の利かない身体を承知の上で、
フランスに3ヶ月ほど旅をされ、
たくさんの人の温かな手助けで、とても充実した日々を送られました。
いずれレストランを開くのが夢だったそうで、
鍋やワインも少しづつ買い集めていました。
亡くなられた後、お母様から形見にといただいた鍋もあります。

もうお一方は本物のグルマン(美食家)。
大学の頃から,フランス料理に興味があり、
社会に出た20代前半にはもうすでに当店の常連で、ワインにも造詣が深く、
かなりのワインのコレクターでもありました。
10数年来、年末のおせちを買っていただいたり、
会社の花見のジンギスカンの後に物足りないからと
当店に鴨のコンフィを食べにいらしたり、
また、映画”バベットの晩餐会”の再現した料理の
鶉とトリュフのパイ包みを提供した際、
召し上がった後、忘れられない味だったのでと
その1週間後、ワイン仲間ともう1度食べにいらしたりと、エピソードは数知れず・・・。
瓜二つのご長男の誕生日は当店の開店の1年後の同じ12月22日と、
ご家族とも深い縁があります。

レストランを開くことが夢だったお客様の元気だった頃の
写真がワインセラーにあり、
当店のワインの管理人をお願いしております。
グルマンだったお客様はとても愛妻家でもあり、
ご家族は奥様と3人兄弟の4人家族。
お子さんたちは近い将来”お父さんが1番好きだったレストラン”に
みんなで食べに来るのが夢だそうです。

お2人の美味しそうに召し上がる姿はもう見ることはできませんが、
当店にはお2人のたくさんの思い出が息づいています。

(2007.9.27記)

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